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◆
「兄さんって、相当人でなしだよね」
「失礼な。生きる知恵だ」
「生き汚いんだね」
「何がなんでもけなすつもりなんだな・・・」
「ところで・・・」
「ん?」
「下ろせ変態~~っ!!」
ギリギリギリギリギリギリギリ
「うぐっ、やめろっ・・・お前の握力でアイアンクローは洒落にならな・・・グギャアアアアアアアアア」
この世の終わりかと見紛うほどの激痛を受けて、俺は校門の前の石畳に倒れ伏した。
一方俺の腕の中から脱出した我が華麗なる妹は顔を紅潮させながら俺の面前に仁王立ちしていた。
「どこの国のどの学校にお姫様抱っこした状態で登校する兄妹がいるっていうの!?バカ兄貴!小腸引きずり出して首に巻き付けるわよ!」
「グロすぎるぞそれは!少なくともこんなところで叫んでいいセンテンスじゃなかった!」
「うっさい黙れ!!」
迫りくる踵落とし。
「あ、あぶねぇ!?」
咄嗟に反応して体を捻らせる。
踵はぎりぎり俺の脇を掠って・・・。
ズボッ、と何かおかしい音を立てながら校門付近に敷かれている石畳に突き刺さった。
「・・・」
「・・・」
「・・・嵌まっちゃったんだけど?」
「し、知らん!」
「兄さんが避けるのが悪いんでしょっ!」
俺に死ねと申すか。
「ちょっ、兄さん!足抜くの手伝って!このままじゃ、この石畳、粉砕しちゃう!」
「全力で手伝う!そんなの弁償する金はないからな!」
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