誰よりも

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◆ 「ところでマイシスター」 「何?兄さん」 三階にある俺の教室と四階にある妹の教室を二人で目指して階段を上りはじめたとき、突如あることを思い出した。 「なんでお前は今日、下着の代わりにスク水・・・いだだあ゙あ゙ア゙!!やめろぉぉぉぉ肩が肘が手首が指がちぎれるぅぅぅ!」 ・・・なぜ俺は絶叫しているのかというと、我が愛しき妹が俺の右手の、親指以外の四本の指を掴んで、くるりと捻りやがったからである。 痛い。 物凄く痛い。 「兄さんはデリカシーと一般常識が欠如しすぎてるのよ、これくらいの教育は必要よね」 「利き腕を不随に追い込むことが教育なわけ無・・・あだだだだだぁぁぁ!」 「発言を許可した覚えはないけど?」 鬼だ、鬼がいらっしゃる。 と、俺の腕を固めたままマイシスターは耳元に口を近づけて囁いてきた。 「・・・・・・兄さんが洗濯しなかったせいで下着がなかったのっ」 嘘をつけ。 「下着なんぞいくらでも予備があるもんだろ普通」 「それはそうだけど・・・勝負下着はあれだけだから・・・」 「待てやオラ」 思わず手を振りほどいて距離をとる。 「誰と勝負する気だよ!?半ばわかるからすごく怖いぞ!」 「私の口から・・・言わせるの・・・?やだ・・・恥ずかしい・・・」 頬を赤らめてうっとりしている妹を見て俺は体の震えが止まらなかった。 ガクガクブルブル これがテーソーの危機という奴なのだろうか。 心なしか妹の、俺を見る視線が顔から首元、鎖骨、胸部、腹部と下りてきて・・・。 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 俺は逃げ出した。 「ま、待ちなさい兄さん!」 すぐに追い掛けてくるマイシスター。 校内じゃおいそれと魔法が使えないため、妹と地力での競走になる。 捕まってたまるかー! 「捕まえた・・・」 「うぐぉぉぉぉぉぉ」 逃げ切れるわけがなかった。 忘れていたが、妹は身体能力全般が秀でているのだ。 腕力だけじゃないのである。
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