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・・・・・・縄張り争いに必死な鳥達が、全身全霊で囀る朝。
目覚まし時計を携帯のアラームで代用している俺は、部屋に響いたコール音で覚醒し、携帯のボタンを二連打して部屋の静寂を奪還した。
まだ鈍い瞼を擦り、大きな欠伸をしながらベッドの傍に立つ。
今日は、平和な朝を------
「にいぃぃぃさぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
------迎えられないようだった。
ドタドタドタドタ、と階段そして床を激しく踏む音が地鳴りのように足を伝って来る。
その音がちょうど俺の部屋の前まで来たと同時に、
ドッカーーーーーーン!!
という破砕音を上げながら、部屋のドアが開け放たれた。
・・・バンッでもバターンでもない。
ドッカーーーーーーン!!
である。
そんな凄まじい轟音をたてて、マイルームの扉をぶち開けてくださったのは、一つ屋根の下で共同生活している麗しの我が妹だった。
妹の起こした衝撃は、まだ家をグラグラと揺らしている。
・・・・・・あれ? ドアの蝶番が2、3個ぐらい吹き飛んでないか?
いや、あれは見なかったことにしよう。
本当に吹き飛んでいたら直さなければならないのは俺なのである。
・・・・・・絶対嫌だ。
ということで、既に原型を留めていない足元の哀れな金属片は俺の認識域からフェードアウトしてもらった、南無。
「あ、ドア壊しちゃった。兄さん直しといて~」
「ふざけるなぁぁぁぁあ! 人がせっかく忘れようとしていたことをぉぉぉ!!」
「ひぃぃっ。ごめんなさい怒鳴らないで・・・って忘れようとしてたの!? それ現実逃避だから!! 逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ・・・」
「逃げてるのはお前だ! 壊したのはお前なのに、何で一瞬も自分で直そうという意思が見られないんだ!!」
「も、元はといえば兄さんが悪いんだよ、昨日洗濯物回しておいてって言ったでしょ! なんで回ってないの!? おかげで制服の予備を出さなきゃいけなかったじゃない!」
「予備があるならいいじゃねぇかよ! つーかお前の下着はちゃんと分けろと言っただろうが! なんで洗濯物の山の一番上にドドーンと置いてあるんだよブラとパンツが!! 俺のオカズにされてーのかバカ!」
「・・・兄さんなら・・・良い・・・よ・・・?」
「黙れ淫乱」
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