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「兄さん死ね兄さん死ね兄さん死ね兄さん死ね兄さん死ね兄さん死ね兄さん死ね兄さん死ね」
「ごめん、俺が悪かった。悪かったから腕を取った状態からそんな物騒な言葉を耳元で囁くのやめてくれないか? 地味に精神にクる」
「腕を取ってるんじゃありません。組んでいるんですよ兄さん死ね兄さん死ね兄さん死ね兄さん死ね」
「訂正はちゃんと入れるんだな・・・しかも敬語・・・」
こうなってしまったら気が済むまで言わせるしかない。
額にはられた特大のガーゼ---○ッキーのスリッパによる傷を隠すためのものである---に手を添えながら俺は盛大な溜息をついた。
「知ってますか兄さん? 溜息をつくと幸せが逃げるんですよ兄さん死ね兄さん死ね兄さん死ね」
「たとえ今俺に福の神が来ても絶対逃げ出すだろ、お前が不気味過ぎて」
もし俺が福の神なら視界に入った瞬間Uターンだ。
誰が好き好んで特A級の怨霊が付いてるようにしか見えない冴えない男に福を運ぼうとするんだ、いやしない。
「自分の妹つかまえて怨霊だなんて失礼な! こんな可愛い女の子がセットなら福の神も鼻の下伸ばして福をじゃぶじゃぶ送ってくれるに決まってるじゃない」
突如敬語を戻して、妹は俺の腕からぽんっと離れる。
嫌われたとかではなく、単に道の人が増えてきたからである。
我が妹は妙なところでシャイなのだ。
ところで俺は・・・
「・・・」
先の妹の自惚れ発言に反論できないでいた。
「・・・」
正直なところ、マイシスターの可愛さは半端じゃないのである。
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