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プロローグ
「物体浮上確認」
「数値、誤差内で安定」
狭く薄暗い部屋でモニター光が浮かんでみえる。
その中にいる全員が、強化ガラス一枚向こうにある黒い物体に視線を集中させていた。
「では左へ1.2ずらしてみてくれ」
白髪の白衣を着たの老人が、無精髭をさすりながら指示を出した。
「左へ1.2ずらします」
一人の白衣の男が素早い指捌きでキーボードを介して黒い物体に数値を入力する。
すると黒い物体は瞬間移動したかのような速さで左に動いた。
「移動確認、実験成功です」
「博士!!」
スタッフ全員が白衣の老人に視線を集めた。
博士と呼ばれた老人は表情を変えずに、ガラス越しに見える黒い物体を睨みつけていた。
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