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「そっ、それもそうだ。俺達は縛られてもなけりゃ猿ぐつわもされてない」
「とっ、取り敢えず。状況を整理してみましょうか」
「まっ、先ずは何で此処へ連れて来られたかを」
「へっ、眼鏡のおっさん。あんたも相当な見当違いだな」
一人の若者が煽っている。
年は17、18歳位だろうか。
「おいお前!目上の人に失礼だろ」
声を荒げる青年、歳は23~25歳位に見える。
「はっはっはっ、そうだぞ坊主」
こちらの工事現場風のおじさんは40代半ば位だろうか。
そして眼鏡のおっさんの歳は30代後半位。
「おい、あんたら何か覚えてねーの?」
この若者は口が悪い。
「そっ、それが何も思い出せないんですよ」
「俺も思い出せない」
「ワシもだ」
「そっか……実は俺も何も思い出せねーんだ」
どうやら全員の監禁される以前の記憶は無いらしい。
「みっ、皆さん、ご自分のなっ、名前は覚えてらっしゃいます?」
「!?」
全員自分の名前すらも覚えていない。
一時的な記憶喪失?全員が?いや違う。意図的に記憶を消されたのだ。
そう意図的に……
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