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「かして」
そう言って、僕のを奪い取る彼女。半分くらい器に残っている苺パフェ。これを食べ終わったら、彼女は死んでしまうのかなあ。そうしたら僕はどうすればいい。
「なんで死ぬの」
真っ先に目を奪われる、真っ赤な色。白い指先でつまんだ苺。かじって、ほんの少し赤く染まった唇。食べたらきっと、すっぱい味。そのあとの真っ白いクリームは、ひどく甘そう。
空中で彷徨った僕の視線と、彼女のそれが、交わった。彼女の瞳は、上目遣いで僕を睨んでる。なんだか恥ずかしくなって、僕は急いで窓の外に目をやった。
「やっぱり、凍死?」
「え?」
僕が彼女に視線を戻すと、そこには彼女の横顔があった。
「んー、凍死が一番楽に死ねるかなって」
ああ。言い方が違った。僕の頭はすこし、考える。
「……なんで死にたいの?」
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