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書斎なんかを見て回ったが小難しい本が所狭しと並べてあったり、気味の悪い実験サンプルがあるくらいで、面白そうな物は一つも見当たらなかった。
唯一見ていないとなれば地下室だけだ。
何でも言い伝えじゃ西洋の鬼が封印されているとかで、俺は好奇心だけで地下室へと向かった。
目の前には真っ黒な棺桶。
おそらく西洋の鬼はこの中だろう。
予めメイドどもから封印を解く呪文とやらを無理矢理聞いて来た。
「汝我の声が聞こえるか、戒めの鎖を断ち切る月は満ちた…太陽はやがて闇へと沈むだろう、汝永き眠りから覚める時、我の血潮を供物にせん」
がんじがらめに巻いてあった鎖が砂になって零れ落ちた。
そしてゆっくりと棺桶の扉が開く。
ギギギ…
棺桶の中から現れたのは美しい青年だった。
「君が俺の封印を解いてくれたの?」
「ああ」
「何年くらい寝てたんだろう」
ふあ、と欠伸をする青年。
「吸血鬼か」
「そうだよ…、誰も封印を解いてくれないから困った」
「お前が悪さをするからだろ」
「悪さ?」
「違うのか?」
「違うよ、俺は理由もなく君のご先祖の興味と好奇心だけで捕まえられて封印されたんだよ」
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