異変

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よろめくシャウプ。 今回のマックの攻撃はボディブロー。 腕を振り抜かず、衝撃は対象に留まった。 猛烈な苦しさに襲われるシャウプが必死に顔をあげ、敵を見据える。 せめて次の攻撃を見逃さないようにと考えての行動だが、それゆえに目に映った。 『闘士(ナックル)モード』のまま、再び形成した頑固一徹。 それが今まさに大きく振りかぶられ、自分を斬り裂かんとしていた。 「ーーッ!!!」 マトモに動くコトはまだできない。 それでも、せめて少しでも距離を取ろうと身体を仰け反らせたのは、生物の防衛本能のおかげだろう。 せめてもの抵抗を見せたシャウプの身体を、肩から腹にかけて、頑固一徹が大きく斬り裂いた。 大の字に倒れるシャウプ。 胸の傷口が焼けるように痛み、熱くて仕方ない。 同時に背中に感じる地面の冷たさ。 己の身体を挟んで感じるふたつの対称的な感覚に加え、溢れ出る血と一緒に力が抜けていく実感は、シャウプは奇妙な気持ちにさせた。
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