Ark:方舟

2/3
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
この記憶は、私がこの世に生を受けてからの「アイツ」に会うまでの16年間の中で最も印象的かつ、私の人生を大きく変えた出来事であることはまず間違いないだろう。 上位小等教育に入る少し前だから……6歳位の頃だったかな?やはり、何時の時代にも世界を変えてやろうと考える人は少なからず居るわけで。私は皇女と言う立場上、幼少の頃から幾度と無く暗殺されかけていた。 だけど、その出来事が起きるまでは自分の身が日々危険に晒されているとは思いもしなかった。幼いとは言え気づく事が無かったのは我が国の旗士(きし)が凄く優秀なお陰であろう。しかし、それがある意味仇に成るときが来たのだ。 そう、あれは夏のある日。父王の一年の内の少ない休日を使って、私達は避暑地の別荘に来ていた。 休日といっても、護衛の数が減るわけでも無く、やはり少し不自由だった。 その避暑地は、全ての方舟の中でも最も美しい「七番旗:イカロス」の中でも一際美しい林の中にあり、別荘を囲う塀の向こうでは当時の私と同じ位の子供達が遊んでいた。 私は毎日その塀の向こうで楽しそうに遊ぶ子供達の姿を見て、とても羨ましく思っていた。 皇女として、私は不自由はしなかったが、人として、私には自由が無かった。 年相応の友達も勿論居なかった…… 「父上……塀のそとで遊んでいる子供達と、私、遊びたいです!」 休日と言うのに執務を行う父上に私はダメ元で掛け合ったが、「ダメだ、お前の身は日々危険に晒されている。城を出てこうやって別荘に来れるだけでもお前は幸せなのだ。遊び相手ならば侍女が居る、侍女に申しつけよ。」と言って。相手にはしてくれなかった。 そんな部下の優秀な旗士が、私を屋敷の外に出してくれるわけも無い。 だから私は、そんな護衛の旗士の交代の時間を見計らい。 ……その日の私はとことん付いていた…付いていた?付いていたのか?まぁ、それは置いといて。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!