漢字恐怖症

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ある日、とある学校で高紀(たかき)君と言う少し変わった小学生がいました。 その子はなんと、漢字が書けないのではない、でも、書けないのと一緒である。 漢字が怖いのだ。 理由は単純明確。 漢字を書くことに、みじんの必要性も感じないからだ。 書けば難しく、読めば意味が違ったりする。なぜあんなものをいちいち書くのか、と、疑問を抱いたりもする。 ここからはもはや、妄想の域に入るだろう。 俺以外の人間は何者かによって洗脳されているのではないのか? 高紀にとってはそれぐらい漢字は、意味を持たないのだ。 いつしか、そんな漢字に恐怖を覚えるようになった。 何故にそんな面倒かつ難しいことをするのか、わからない子だった。 なので、文などを書くときはいつもひらがな。 いつも先生に注意される。 「いい加減に漢字を使いなさい」 いつも無視だ。 カタカナは、書けるらしい。 「あれは、ひらがなの簡略化だ。」 と、自身も評していた。 漢字が怖い、などとこんな年になって恥ずかしくて言えるわけがない。第一意味が解らないだろう。 だからいつも、無視するか、しつこければ「面倒くさい」で貫き通す。 そんな稀な人間だった。
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