漢字恐怖症

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ある日下校中。 いつものように寄るところもなく、まっすぐ家に帰っていた。 「たまには違う道でも通ってみるか。」 分かれ道のいつもと違う方へと行く。 たまには気分転換も必要だ。 見馴れない店が並んでいた。 その中に、『恐怖屋』「怖いものがあれば、気軽にお立ち寄りください」 第一印象が、うさんくさかった。 同時に好奇心も湧いてきた。 心当たりもあるので、何となく入ってみる。 中は暗く辺りがよく見えない。子どもが作ったおばけ屋敷を思わせる構造になっていた。 「いらっしゃい!この奧だよっ!」 祭りの時に聞くような威勢のいい男の声が奥からする。 言われるままに、奥にある扉を開ける。 視界が光に埋もれる。 「いらっしゃいやせ、恐怖屋へようこそ!何つって!」 予想通り、祭りの屋台で焼きそばを作っているおっさんみたいな人が座っている。 おまけにハチマキまで。 「よう坊主、とりあえず座れ」 それが客に対する態度か? それはさておき、言う通りいすに腰を掛ける。 「ご用件は何で?」 「はい?」 「怖いものは何で?」 最初より強めに聞いてくる。その言葉を理解し、 「漢字が怖いです!」 堂々ときっぱり答えた。
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