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「そうか・・・わたし・・・」
胸が張り裂けそうだった。
これまで主と自分しか存在しない世界で、ただの一度も主を呪ったことはなかった。
それどころか、毎夜彼を暖かく迎えることのできる自分を誇らしく思ったものだった。
しかし今はどうだ。
外を知り、如何に自分が惨めな境遇にあったかを思い知ると、自らのうちにおぞましく醜い感情が芽生えるのを覚える。
自由を得た希望で必死にそれを覆い隠し、
彼女は悲しみに飲まれないよう、歩を進める。
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