七日目

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 真っ白な閃光(せんこう)が辺りを一瞬にして包む。  まるで何かが爆発したかのように。  光はすぐに力をなくして消え去り、会場は元の状態に戻った。  観客も誰も、言葉を発しない。  いや、発することが出来ないのか。  皆茫然とした顔でいる。  何が起こったのかも理解出来ない。  光の前と後で、大多数の人にとっては何も変わらない。  ただ、潤人の目の前には、  菜々花がいない。  さっきまですぐ隣に立っていたのに。  まるで始めから何もいなかったかのように。  その向こう側の客席が見えるだけ。 「菜々花……?」  微かな声で呟くように呼んでみたけれど、当然のごとく返事は無い。 「菜々花……!」  もう一度呼んでみても結果は同じ。  消え……た……?  いなくなってしまったの?  オレ一人を置いて……。  あの子は沢山オレを助けてくれた。  いつもオレの隣にいて、計り知れない程の勇気と力をくれて。  全てを変えてくれた。  なのに、オレは……あの子に何をしてあげられた?  甘えるばかりで何も……  何も出来ていない……。  むしろ、奪ってばかりだ。  菜々花の未来を……  全てを……。  どうして菜々花が消えなければならない……?  あの子が何をしたというんだ……!!  菜々花だって……  生きたいと願っていたはず……!  そう、生きたいと……。 「…………」  最後に聞こえた……菜々花の言葉。 「生きたい……」  もしも……  もしも奇跡が起きるなら……
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