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この修行じみた行為を何度か繰り返し、昼休み。
ただし召し使いには一仕事。
まずは全校生徒を収容可能な、三ツ星レストランのような食堂へお嬢様をエスコート。
腕に当たっている柔らかみが、この修行を果たした私へのご褒美。そう思わないとやってられない。
食堂に到着し、先着順に円形のテーブルに座して行く。
お嬢様の友人、佐伯家のご令嬢と同じテーブルに座る。
さて、厨房に向かって、料理を持ってきましょうか。
頭を下げ、私は厨房に向かう。
料理を作っているのは、それこそ独立してレストランを開業できるほどの腕前を持つ一流シェフ。
……不公平だ。今に始まったことじゃないけど。
私はゴミ箱を漁った経験がある。誰かの食べ残しを食べたこともある。
この差は、なんなんでしょうね……。
厨房の横にあるカートを押して、また豪華なランチを受け取り、テーブルに戻った。
最初からテーブルに並べておけばいいのに……。聞いた話だと、わずかな時間でさえも味が劣化するから、とかなんとか。
「お待たせいたしました」
玲菜お嬢様の前にそれらを並べ、佐伯お嬢様にはその専属召し使いが並べている。
それが終わって私は下がった。
後は、食事が終わるのを待つのみ、と。
なにか不測の事態が発生したら私の出番ですが……不測の事態なんてものが起こるものか。
フォークやナイフを落とすようなこと、お嬢様はしない。
「ねえ知ってる? あの使用人、元々はスラムの出身ですって」
スラム出身の卑しさですか、こういう自分への悪口には敏感に聞き取ってしまう。
私がスラム出なのを誰かに話したことはありません。しかしなぜかこうして知れ渡っているわけで……。
それでも、我慢しなくては。
「上之宮に取り入るなんて、ホント、下品な人。きっと盗むものでも見てるのよ」
ガタッ、と音を立ててお嬢様は立ち上がった。
「玲菜さん、落ち着いて」
「落ち着いてなんかいられないわ」
佐伯お嬢様の制止も聞かず、玲菜お嬢様は私の悪口を言っていた二人へ歩く。
回りからも大注目されてますね。
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