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「お嬢様、私なら問題ありませんから」 「これは私の問題よ」 私の制止も無視して進む。 当たり前ですが、ごつい執事の男性が立ち塞がります。 お嬢様はその執事に向かって、決闘用手袋を叩きつけた。ええ持ち歩いているんですこの人。 「私の使用人の悪口は許しませんわ。決闘なさい。無論、私もあなたも女性の身、行うのは侮辱された使用人ですわ」 これで何度目だと思って……勘弁してもらえませんか。 死なないように加減するのは大変なんです。 決闘場は、学園の専用広場。 決闘専用の場を設けるってなにを考えてるんですかこの学園は……。 おまけにこの日本刀、本物。 まれに死亡・片腕を失う使用人がいるようですが、私はそうしないようにしている。 いるのは私と玲菜お嬢様、そして相手の執事とその主。 決闘場はありますが、観客席はありません。 「ヒカル、勝ちなさい。どうあっても」 「……はい」 スラムなら決闘なんかやらない。油断している背後からズドンで済む。 私と男性が向き合う。どうあっても勝て、ですね。 体格からこちらが不利。勝てる要因といえば、得物が同じで殺傷力があるというくらいですか。 「お互い苦労しますね」「なら辞めたらどうかね? 君が謝れば怪我せずに済むぞ?」 「それは無理です、よっ!」 私の横薙ぎの一線は男性の右肩を狙った。しかしそれは相手の刀に阻まれる。 それでいい。男性の目は私の刀を見ている。 瞬間に蹴り上げた。場所はもちろん股間。情け容赦なく。 「うお……!」 スラムの喧嘩のやり方教えてやる。 前屈みになった男性の喉に左手の手刀を叩き込み、右の日本刀で男性の日本刀を叩き落とす。 後は私も日本刀を離して男性の肩をつかんで地面に転倒させた。 「私の勝ちです。いいですね?」 問う相手はお嬢様だ。このまま馬乗りになって殴り続けるのはよくない。
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