プロローグ

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「あれ?みんな出かけてるのかな?すごい静か……」 とりあえず僕はリビングのドアをあけてみた。 そこにいつも母様がいるはずだから。 「なんだぁみんなこんなところで寝てたんだ」 僕はあまりにも幼くて死ぬという意味がわからなかった。 「こんなところで寝てると風邪ひいちゃうよ?こんなに冷たくなって…」 僕はみんなのために毛布を持ってきてかけてあげた。 そのとき気づかないぐらいにみんなの服が真っ赤にそまっていた。 そして、誰かがドスドスと走ってくる音がした。 「あなたね。アエーレオっていうのは」 そういって扇を顔の前に広げた。 「あなたの両親は死んだわ。今から私と一緒に来なさい」 僕は強制的に馬車に乗せられていった。 死という言葉に、抵抗する気力さえ残っていなかった。 ただただ、「母様、父様」と名前を呼ぶしかなかったんだ。
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