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アエーレオは黙ったまま立ち上がり、仕事に戻った。
もちろんアエーレオの朝食はない。
「よぉレオ!今大丈夫か?」
庭の掃除をしていたアエーレオに、いかにもお金持ちといったような服を着た少年が尋ねてきた。
「よぉエイ。もうちょっといいか?ここの掃除が終わったらひと段落つくから」
こいつはエイヤ・ドミナルスィ。俺の幼馴染なんだ。
レオというのは親しいものだけが呼ぶ愛称。
今レオと呼ぶのはエイヤだけだ。
「お前また痩せたんじゃねぇか?ちゃんと食ってるのかよ」
エイヤは壁にもたれかかり腕を組んでアエーレオを見ていた。
ひと段落終わったのか枯葉を袋に入れて、箒を片付けた。
「食ってるよ。こんだけ動けば当たり前だろ」
そういってアエーレオはエイヤの横に座った。
アエーレオの格好はエイヤと比べて極めて質素だった。
「今度の週末に舞踏会にこの国の姫が来るんだとさ」
そんな話をしてどうするんだか……。
「へぇ~楽しんでこいよ」
俺にはこれしかいいようがない。
「お前も来いよ!抜け出してさ」
軽く聞き流していたのに…エイヤの言葉を聞いてアエーレオは目を見開いた。
「無理にきまってんだろう!俺には舞踏会にいけるような服もないし第一抜け出せるならとっくに抜け出してるよ」
そういってアエーレオは立ち上がった。
「なにやってんの!!アエーレオ!あんたにはまだまだ仕事があるでしょう!しっかりやりなさい!終わらなかったら夜ご飯ぬきだからよく覚えておき!」
そうエリーザはいっぺんに言った。
「うっせぇ!ばばあ!自分のことぐらい自分でやれっつうんだよ!」
エイヤはそういうと自分の家へと帰っていった。
「まだあんなやつとつきあっていたのかい!」
エリーザはアエーレオの頬をひっぱたいた。
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