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三兄弟~イザベラ~
―…あの子達って、本当にお互いが大好きで堪らないのね。
最愛の従姉妹から送られてきた手紙を読んで、毎回思うこと。
イザベラは赤い宝石のような瞳と自慢の赤毛を巻き上げて、溜め息をつく。
邪魔したら可哀想だけど…
うちのお兄様達も
欲しいものは手に入れないと気が済まないタイプなのよね。
そう、まさに彼女は従姉妹の最愛の双子と可愛いがってくれる自分の兄達との間に挟まれている形になっていた。
あの双子がお互いを本気で愛しあっているのは
初めて会った時に薄々感ずいていた。
―…もちろん兄達もだが。
最初は、双子を守ってあげたくて兄達をよく社交場に誘った。
イザベラにとって兄達は自慢だった。
本当に美しい容姿を持っていたし、頭脳明晰・家柄も良いとなれば見合い話しもたくさん舞い込んだものだ。
しかし、あの二人は決して首を縦に振る事はなかった。
もう心に愛する人がいたから。
あの天使達を愛してしまったから………。
物静かな一番上の兄・シファンはどこかミステリアスな雰囲気を持ったリリアに、
柔らかな物腰の二番目の兄・ライルは、リリアを護る強い意志を持つアリアに
…………当時四歳の幼子に一目惚れしてしまったのだ。
あの二人は成長するにつれ、益々可愛らしく、美しくなってきた。
そんな兄達を止められる術は、無いに等しい。
「ごめんね…アリア、リリア。」 私じゃ力になれそうもない。
イザベラは可愛い二人の顔を思い浮かべて、また溜め息を零した。
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