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昔昔のお話しです。
世界には唯一絶対の神様がいました。
神様はずっとずっと長い間じっとしていましたが、ある時こうおっしゃいました。
「光あれ」
すると世界には光が満ち溢れ、宇宙と星に満たされました。
神様は喜びました。そしてまた悠久の時を一人で過ごしました。
けれど神様はだんだん寂しくなってきて、またこうおっしゃいました。
「炎よ」
すると世界には竜族と呼ばれる凄く強い生命が誕生しました。
神様は喜びました。しかし、喜びは長く続きませんでした。
竜族は我らこそ世界を統べる者とばかりに神を無視したのです。
神様は悲しみのあまりまたこうおっしゃいました。
「水よ」
すると世界に人魚族が誕生しました。人魚族は慈悲深く、神にも竜族にも優しく献身的に接しました。
始めのうち、神は喜びましたが、人魚族が竜族に罵倒されても殴られても献身的につかえるのを見て何か違うと思いました。
そして神様はこうおっしゃいました。
「大地よ」
するとドワーフ族が誕生しました。
ドワーフ族は豪快で、神とも竜族とも人魚族とも気持ちよく接しました。
神様は喜びました。
ところが、月日がたつにつれドワーフ族は鍛冶や宝石細工に夢中になり、鉱山にこもるようになりました。
神様は寂しくなってこうおっしゃいました。
「天よ」
すると天使族が誕生しました。天使族は神様の言うことなら何でも聞き、神様の傍を離れませんでした。
神様は寂しくなくなりました。
しかし、ある時気付いたのです。天使族が多種族を蔑んでいると。
神様は戸惑ってこうおっしゃいました。
「獣よ」
すると狼族が誕生しました。
狼族は温厚で慈悲深く、それでいて誇り高い、頭のいい種族でした。けれども狼族は森に憩うのを好み、会いに行かない限り他種族とは関わりませんでした。
神様は悩んでこうおっしゃいました。
「自然よ」
するとエルフ種族が誕生しました。
エルフ達は自然を好み、知性に溢れ、とても外交的な種族でした。
神様は安心しましたが、安心は長続きしませんでした。
エルフ種族はありのままの自然に手を加え、自分達の都合の良いように改良したのです。
神様は殺伐とした世界が嫌になり、こうおっしゃいました。
「歌よ」
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