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すると妖精種族が誕生しました。
妖精種族は世界を美しい歌で満たしました。
神様は癒されました。けれど気付いたのです。どんなに綺麗なものでも、何時かは壊れるのだと。
神様は怖くなってこうおっしゃいました。
「不変よ」
すると世界に不死種族が誕生しました。不死種族はどんなに壊れても元に戻りました。
神様は怖くなくなりました。
しかし、不死種族は死にたがりました。不死の運命を呪ったのです。
神様は憐れになってこうおっしゃいました。
「死よ」
すると世界に戦姫種族が誕生しました。
戦姫種族はどの種族よりも強く、不死種族を何度も何度も殺しました。勿論、不死種族は死ねませんでしたが、生まれ変わることが出来るようになりました。
神様は肩を撫で下ろしました。
また長い間、神様は宇宙をさ迷いました。
そしてふとこうおっしゃったのです。
「創造よ」
すると人間種族が誕生しました。
人間種族はどんなものでも作れました。
それこそ、神様の如く。
神様は後悔しました。人間種族は今までのどの種族よりも強過ぎたのです。
種族間の調和が乱れ、種族同士の争いが絶えなくなりました。
神様はやむなくこうおっしゃいました。「破壊よ」
すると世界に一振りの剣が現われました。
その剣には柄などなく、刀身だけが存在していました。
剣はどの種族よりも強力な力をもっていて、あらゆる種族を圧倒し、それぞれの世界に押し返しました。
神様は世界が安定したと思いました。
しかしそれは勘違いでした。
剣には自己の意識などなく、生きているものを、ただ殺していただけなのです。
役目を終えた後も、剣は殺して、殺して、殺し回りました。
特に人間種族の被害は大きく、種族を守り剣と正面から戦った人間王天照が命を落としました。
王を亡くしたことにより、人間種族は急速に力を失いました。
神はもう見ていられなくなり、剣を捕まえこうおっしゃいました。
「恵みよ」
世界は恵みに満たされ、あまりに生命が多すぎて剣は混乱し、使命を砕かれました。
そして神様は剣を大地に突き立て、全ての種族に謝罪し、何処かへ姿を消しました。
これは、とてもとても昔のお話しです。
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