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駅の改札をくぐった先に
"百円ロッカー"がたくさん置いてある。
ソイツの前を歩いてたおじさんが百円ロッカーになにやら紙袋のようなものを入れている。
その隣のロッカーにソイツはカバンをしまった。
ガチャン
ロッカーのドアには鍵がかかった。
「――サカケン!」
ソイツを呼ぶ声がした。
「東…」
ソイツ――サカケンは手をふって近づいて来る男を見た。
ビックリした。
たくさんのスーツ姿の会社員の中に一人だけやけに目立つヤツがいた。
ヤツは派手なピンクのTシャツに赤いギンガムチェックの七分袖シャツ。
ボロいジーパンに白いベルト。おまけに髪の毛は…
「金かよ…」
サカケンと呼ばれたソイツが覚える限り東に最後にあったときは髪の毛は金じゃなかったハズだ。
「よぉサカケン!元気だった?マジ元気だった?ちょっ…無視すんなよ~」
無視すんなよ なんて無理だ。
「あ!お前俺がちょっとカッコよくなったからって…」
うわぁ…東のヤツ"カッコいい"って自分て言い切ったよ…
「まぁアレだな!俺もサカケンももう大人だし?楽しくいこーぜッッ!!」
…関わりたくねぇ
サカケンが知ってる「東」はもっときちんとしてるヤツだった。髪の毛も黒かったし、趣味の悪い服を着てるヤツでもなかったハズだ。
高校での成績だって東の方がずっとよかったし。
なのになんだ…今日の東はおかしい。
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