先制攻撃

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駅を出ると少し小さめの商店街がある。 八百屋、肉屋、魚屋、本屋、床屋… なんでもありそうだ。 その商店街の入り口付近で路上ライブをしている二人組がいた ――サカケンと東だ 「坂城 憲一郎、略してサカケンと…」 「東 孝弘、ダイナマイト★東!!!二人あわせて…」 『東サカケン です!!!』 正直見たくない。 オモシロクない… 下手。 「♪~君のまつげはぁちょっとながぁいのねぇ~…」 やめてほしい。 「♪~yeah ah ah~」 無理だ。 この二人じゃ無理だ。 「♪まつげのぉながぁい娘はぁ~かわうぃ~いぃ娘~…」 通行人が大迷惑している。 当の本人達は全く気付いてないようだ。 「♪永遠のぉ~美少女ぉながぁいまつげぇ~…まつげぇ~フォーエバーぁぁ~…」 最後のワンフレーズを唄いきり二人は満足げだった。 しかし、二人の前にはだれも居なかった。 「今日もダメか…帰ろうぜ…」 そういって東はギターをしまいだした。 「…うん」 サカケンもしぶしぶギターをしまった。 二人に吹く風は冷たかった。
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