恋は盲目

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むせ返るくらいな、香水の匂いが立ちこめる放課後の教室。 「三高の奴らギャル男だけどヤバいイケてんだって!!」 「麻緒のイケてるは信用なんねくね?」 「ぎゃははっ!そうそうそう(笑)ってか、くるみ~今日の合コンマジ来ない気?」 少し離れた机に座り、小柄な体形に、健康的な肌・・小さなピンクのハートの手鏡を左に手にし、右手でビューラーをしながら呼び掛ける方に振り向く一人の生徒。 『ん~?うんアタシ行かない。用事あるしぃ』 「用事ってまた生物部の助手?ってか、生物教師のストーキング?(笑)」 冷やかす皆の笑い声に顔を赤らめながら、くるみがスルリと机から降り、素早くほのかに色づくグロスを唇につけ、ろくに教科書も入っていない鞄にメイクポーチを投げ入れ、 『ぢゃ!良い冬休みを。』 とだけ言い、教室から消えて行った・・ まだ麻緒達の笑い声が長い廊下に響いていた。
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