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「佐野(サノ)……と小松?
お前、俺の生徒ナンパしてんなよ」
声をかけてきたのは宮田先生だった。
佐野と呼ばれた男の人は、あからさまにマズいと言う顔をした。
「いやー、そんなんじゃないっすよ!
俺がそんな事する奴に見えますか?」
「見える」
佐野という人の言葉に即答する宮田先生。
あたしはそんな2人のやり取りを、ただ眺めていた。
「小松、大丈夫か?
こいつに変な事されてないか?」
宮田先生はしゃがみ込んであたしと目線を合わせた。
その顔は心配しているというより、少しニヤついていた。
「先生…あたし…」
少し俯きながら小さく呟くと、佐野という人は慌てたように宮田先生の隣にしゃがみ込んだ。
「俺っ、何にもしてないよ!?」
その瞬間、あたしと宮田先生は吹き出した。
キョトンとする、佐野という人。
その顔が面白くて、笑いが止まらなかった。
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