暖かい人

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あたしの前に来ると、佐野という人はにっこり笑った。     「俺、佐野翔(サノ カケル)。 ここの卒業生で元野球部。 ちなみに大学2年」     「あたしは小松笑花、高3です」     あたしは自己紹介しながらペコリとお辞儀した。     「笑花ちゃんかぁ。 じゃあ、笑ちゃんでいいかな? 俺は翔でいいし」     「あっ…はい」     笑ちゃんなんて小学校以来呼ばれてなくて何だかくすぐったかった。   そう思った自分が少し恥ずかしかった。     「よろしくね、笑ちゃん」     「よろしく、翔さん」     あたしは翔さんと握手を交わした。   大きくてゴツゴツした男の人の手。   だけど翔さんの手はとても暖かかった。    
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