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「お疲れ様、笑ちゃん」
「翔さんもお疲れ様です」
翔さんは週に3回、野球部の特別コーチをしに来る。
練習が始まるまでのちょっとの時間をこうして2人で過ごすようになった。
それが今のあたしの楽しみ。
学校の事や友達の話。
昨日見たテレビや好きな音楽の話をする。
他愛のない会話ばかりだけど、あたしは翔さんと過ごすこの時間がとても好きだった。
「あっ、美子だ」
グラウンドから大きく手を振っている美子。
さっき翔さんの事を子供だなんて言っておきながら自分も似たようなもんだ。
あたしはクスクス笑いながら美子に手を振り返した。
「笑ちゃんと美子ちゃんってホントに仲良いんだね」
「うん。
だって幼稚園からずっと一緒だから」
翔さんに敬語は堅苦しいと言われてからはタメ口で話している。
一応先輩なんだけど…と思いながらも、まるで近所のお兄ちゃんみたいな翔さん。
今ではタメ口が当たり前になっていた。
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