暖かい人

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あたしの名前は小松笑花(コマツ エミカ)。 あたしの通う高校は付属の高校で、歩いて10分くらいのところに大学がある。   自由な校風が特徴で、部活動にも力を入れている学校だ。   だからあたしはこの高校を選んだ。   今となっては何の意味もなさないけど。     「おー、小松。 今帰りか?」     「はい、そうです」     グラウンドの横を通り過ぎる時、担任で野球部顧問の宮田崇(ミヤタ タカシ)が声をかけてきた。   歳は40歳くらいで、背はあまり高くないけど体格のいい優しい先生。   まぁ、野球部員からは『鬼の宮田』なんて呼ばれてるけど。   言葉を返したあたしに、宮田先生は笑顔で頷いた。     「そうか。 気を付けて帰れよ」     そう言うと宮田先生はグラウンドへ小走りで向かった。   あたしはそんな宮田先生の後ろ姿を眺めながら、視線を少しずらした。   視線の先は……陸上部。   半年前までは当たり前のようにそこにいたあたし。   でも今は…。   あたしは下唇を噛み締めながら、校門で待っているであろうお母さんの元に向かった。   車椅子を動かしながら…。    
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