暖かい人

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グラウンドの横をいつものように通り過ぎる。   見なければいいのに、いつものように陸上部の方を見てしまう。   そしてみんなを見て嫉妬してしまう。   そんな自分に自己嫌悪して、大きな溜め息をついた。     「溜め息つくと幸せ逃げるよ?」     「は?」     いきなり横から声が聞こえてきた。   あたしは声の主を見上げた。   そこには全く見た事のない私服の男の人が立っていた。   この学校は付属という事もあって、門の所にいる守衛さんに学生証を見せれば大学の人も簡単に校内に入れる。   部活のOBなんかが、後輩の様子を見に来たりするのは当たり前だから、私服の人がいても不思議じゃない。   でも、この全く知らない人に話しかけられる理由にはならない。   あたしが声を出そうとした時、聞き覚えのある声が聞こえた。    
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