†第0章† クロノエルム

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国と言うよりは 村と言った方がいいだろう。 京介達の世界で言う「国」とは また違うのかもしれない。 「水の国ならどんな旅人でも 受け入れてくれるから大丈夫だろう。」 老人は二人を交互に見ると 続けて言った。 「それでは 私は用事があるのでな……。 ここでお別れだ、ありがとうな君達。」 「あ、いえ。 こちらこそありがとうございました…。」 京介はそう言い 後ろにいた老人に振り向いた。 数秒遅れで翔一も振り向いたが もうそこには老人の姿は無かった。 「え!?」 「……な、何だったんだ。 あのおじいさん……。」 傷が癒える実といい 不思議な老人といい 奇妙な事が起こりすぎている。 二人はしばらく呆然と立ちすくんでいたが 翔一がふと口を開いた。 「どうすんだ? これから。」 「とりあえず……… 進もう。ここで立ちどまっていても意味がない。 まずは水の国へ………。」 京介は再び、水の国を見た。 そうして二人は水の国へと続く緩やかな道を歩きだした。 それと同時に後戻り出来ない世界へと足を踏み入れたのだった。
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