†第1章†~水の国~

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「あ、えっと……。 僕達は、その……国とかじゃなくて、あの………。」 京介はしどろもどろに答えたが 伝わるはずもない。 男は不思議な顔をした。 「一体、何なんだい? ……………まあ、いい。どうだ? 行く先がないなら、俺の家でお茶でも飲んでいくか?」 こうして二人は 男の家に行くことになった。 「水の国のお茶は美味いぞ。 なんせ水がキレイだからな。ハハハッ!」 と男は言いながら ポットにお湯を入れていた。 男の家を見るからに 男は一人暮らしのようだった。 広いリビングにはテーブルと椅子が一つで 奥の部屋にはベッドが一台。 家の造りは 恐らくあの森から伐採してきたであろう木材を加工して組み合わせて出来ていた。 まるでログハウスのようだ。 家の中がほのかに木の香りがする。 「さて、そういえば話しが途中だったな………。」 男はお茶が入った湯のみを 二人に手渡した。 男の椅子が無かったので 男だけ木の丸太に腰掛けた。 「……はい、それのことなんですが、聞きたいことがあるんです。」 翔一が言った。 しかし 男は翔一の話しを聞かず 京介が受けとったお茶をすするのを見ていた。 「君達、違う世界から来たんだね。」 京介がお茶を飲むのを確認してから 男は翔一に問い掛けた。 「っ!?」 京介は危なくお茶を吹き出すところだった。 いや、何滴かこぼした。 「…何故、それを……?」 京介は驚きが隠せずにいた。 「旅人は普通、他人から貰ったものを すぐに口に入れようとはしない。 毒が入ってるかもしれないからね。」 男は京介に向かって微笑み お茶を一杯飲んだ。 「大丈夫、俺はそんな事しないよ。 確かめただけさ。」 俺は京介が真剣になっているのが 可笑しかったのか豪快に笑った。
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