†第0章† クロノエルム

4/15
前へ
/31ページ
次へ
6-1と書かれた教室。 教室の真ん中には 大きな人盛りが出来ていた。 更にいつもとは違う 雰囲気もおまけに。 いつもはあまり仲のよくない奴も輪の中に入っている。 特に女子に至っては それがいえる。 みんなは何やら熱心に会話を 繰り広げていたらしい。 しかし その内容は分からない。 なぜなら 翔一が突然教室に入ってきたため みんながビックリして 会話を中断しざるをえなくなったからだ。 「……えーっと……。 おはよ、皆さん。お揃いで…。」 翔一はそんな空気に耐えられず 先に自ら口を動かした。 「翔一、ゴメン!」 輪の中の一人が声をあげた。 一体何に対する 「ゴメン」 なのかだろう。 ドッヂボールやらないでゴメンなのか こんな空気でゴメンなのか はたまた違う理由でゴメンなのか…。 翔一にはよく分からなかったが とりあえずは 「どうしたんだよ、みんなドッヂボールすっぽかして…。」 とだけ言った。 「聞いてくれよ、うちのクラスに転入生が来るんだよ!」 さっきとは違う子が やや興奮気味に言った。 見る限り ほぼ全員が興奮しているようだが。 「え!?マジで、本当に来んのか?」 翔一のクラスは 2年間ずっと転入生が来ていないので、 驚くのも当たり前だった。 「オレ、オレ、オレ見た…!見たんだ!」 今度はスポーツ刈の違う子が来た。 「落ち着いて話せよ~、バカ。」 「え?見たって、何を?」 いつの間にか 翔一も輪の中に無理矢理 入れられていた。 どうやら話しの流れ的に 転入生が来るから今日は ドッヂボールどころじゃないぜぇ。 と、いった感じのようだが 翔一は今さらドッヂボールのことは考えていなかった。 「転入生をだよ! オレが今日、たまたま校長室の前通ったんだけどさ、雅弘先生と校長先生と、あと知らない男の子が話してたんだ!!」 雅弘先生とは 翔一のクラスの担任の先生である。 「ど、どんな子だった?」 と翔一が言った瞬間 教室のドアから二人の少年が転がるように入ってきた。 「大大大ニュース!!ニュースだよ。ニュースだよ。 どいたどいた!」 二人は大きな画用紙を丸めて 手に持っていた。 人を押しのけながら歩み寄り 教室の真ん中にある机の上に バンッと画用紙を広げた。 「何、何、見せて!」 「慌てない、慌てない。」 数人の女子が集まったが 二人によって制された。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加