春色平成児誉美

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「けしからーん! ケダモノはんたーい!!」 突然優が叫んで 総司に倒れかかって行った。 総司がいる所まで到達できずに 都と美姫の膝に倒れ込む。 それとほぼ同時に ぴすーっと間抜けな 寝息を立て始めた。 「け、ケダモノ……?」 否定できないだけに 総司はショックを受けて呟く。 「こいつ、こんな奴だったか?」 土方はめんどくさそうに 優をベッドに転がしてやる。 「ビールが駄目なんです。 日本酒とかウイスキーでは 顔色ひとつ変えないくせに……」 都が悩ましげに答えた。 「どんな体質だよ。」 土方の呟きを聞いた美姫は くすくすと笑った。 「ケダモノ……ケダモノ……。」 総司は一層暗くなっている。 春はそっと総司に 近づいて耳打ちした。 「総司。あたしだって 少しがっかりしましたよ。」 「え?」 もちろん皆が来てくれたのは 嬉しいんですけどね、と 春が微笑みながら つけ足した言葉は 舞い上がった総司の 耳には入らなかった。 「土方さーん! それから冬馬も!皆さんも! じゃんじゃん飲みましょー!」 総司は途端に元気になって グラスを天井に掲げる。 「それ、俺らが 買ってきた酒なんですけど。」 冬馬は総司に冷たい目を向ける。 「春、何言ったの?」 美姫が愉快そうに 春の袖を引っ張った。
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