甘い恋の歌

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「春…。」 総司が春の肩を 抱き寄せようとすると… 「熱は!?」 春は急に動いて 総司のおでこに手を伸ばしてきた 「少し熱い…? 微熱がありますかね。 決めました! 今日は看病させて下さい!」 「はぁ。」 総司は春のテンションの 変わり様についていけず 曖昧な返事を返す。 「そうと決まれば… ちょっと待ってて下さいね!」 春は携帯を取りだし、 どこかに電話をかけ始めた。 「あ。もしもしお母さん? そう。今総司といるよ。 でね、熱があるみたいで…。 うん。今日帰らないかも。 分かった。大丈夫。 はーい。じゃぁね。」 春が電話を切ったと同時に、 「今日は帰らないぃぃ!?」 総司は声をあげた。 (しかも水無月家。 あっさり許しすぎですよ!) 「駄目ですか??」 春が少し寂しそうに聞く。 「いえいえいえ!! 駄目な訳ないじゃないですか! むしろ大歓迎というか… 毎日来てくれても 良いんですけど。」 最後の2行で 思わず本音が出ていることに 総司は気づいていない。 「良かった♪」 春がホッとした様に笑った。 「でもなぜ急に?? 風邪も大したことないですよ?」 (今まで泊まりに来たいって 言ってくれたことなかったし。) 総司が聞くと、 春は笑顔のまま 少しだけ遠い眼差しで答えた。 「あたし、総司が体調悪いとき、 辛いとき、1人でいたくないとき ちゃんと傍にいたいんです。 幕末では、できなかったから…」 総司は言葉に詰まった。 今度こそ春の肩を強く抱き寄せる 「ありがとう。」 小さくお礼を言うと 総司の肩あたりで、 春の小さな顔がほころんだ。
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