甘い恋の歌

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「それではまた。」 総司が電話を切る。 「何の話ですか?」 春が声をかけるが、 総司はそれについて何も答えず、 「ちょっと、ね。 それより橘さんのこと、 良かったですね。」 と、曖昧に微笑んだだけだった。 総司が話さないのなら 春も別に深くは追及しない。 「えぇ、まぁ。 とりあえずホッとしましたけど…」 そう言いながら総司の顔を見る。 すると春は、総司の顔色が 悪いことに気づいた。 元々色白なのだが、 今はいつにもまして青白い。 「ね?だから大丈夫だって 言ったでしょう??」 「総司こそ、大丈夫ですか??」 「何がです~?」 返事をする総司の いつもの笑顔も なんだかぼんやりしている。 「もしかして… 熱、上がってません?」 「あぁ…。」 総司は自分の額に手をあて しばらく黙る。 「そうかも。」 ヘラ~と笑った。 「やっぱり!!」 「そうえば電話中、 なんか寒かったんですよね。」 春も急いで 総司のオデコに手を当てる もの凄く、熱い。 「体温計!!」 春は小さく叫んで立ち上がった。
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