甘い恋の歌

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【38度9分】 案の定、体温計は 総司の高熱を示した。 「普段めったに 風邪ひかないんですけど たまにひくとひどいんです。」 オデコにひえピタを貼られ、 ベッドに寝かされた総司が話す。 「風邪菌が回っちゃうから、 今日はお風呂駄目ですよ。」 そう言いながら、 春が薬を持ってきた。 総司の家に寄る前に 買って来ていたのだ。 「お風呂は別に 我慢できますけど…。 それ、飲まなきゃ駄目ですか?」 薬袋と水が入ったコップを見て、 総司はギリギリ目だけ出すように 布団に潜り込んでしまう。 「なに子供みたいな事 言ってるんですか!! ちゃんと飲んで 早く治して下さい。」 春が布団をめくる。 「あー…。嫌だなぁ。」 総司は渋々と起き上がった。 「私、粉薬苦手なんですよぅ。 苦いじゃないですか~。」 涙目になる総司に 春はポケットから 飴玉を取り出して見せる 途端に総司の目が輝いた。 「ちゃんと飲んだら 口治しにあげます。」 「飲みましょう。」 総司はコップと薬を受け取った。
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