片思い

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3限が終わり、 春が急いで武道場に行くと 総司はもう、 道着に着替え、 防具もつけて待っていた。 「すいません! すぐ準備しますね!」 春は、更衣室に走る。 「私もさっき 来たところなんで そんな急がなくて良いですよ。」 総司は春の慌てぶりを見て クスクス笑いながら 言ってくれた。 「いえ!すぐ着替えます!」 春が更衣室に入り ワタワタと道着に着替えていると 「稽古は良いですけど 少しは色っぽい展開に 持っていってくださいよ?」 と、上から声がかかった。 思念総司が 更衣室のロッカーの上に 腕を組んで座っている。 春は頬を膨らます。 「あたし考えたら 何もできなくなっちゃうから もう、素のままの自分で 実体の沖田先生に 接することにしたんです!」 先ほど、実体総司に 声をかけたときに パニックになったことに、 春はもう懲りたのだ。 「ははッ!それもそうですねぇ。 よく考えたら私も あなたのそんな所が 好きでした♪」 総司がヒラリと ロッカーから降りてくる。 そして、春の頬に ソッと触れる様な仕草をした。 「きっと“私”もそうですよ。」 総司が優しく微笑む。 「沖田先生…。」 なんだか良いムードだ。 春も微笑み返そうとして…
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