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部活の後、更衣室で
小手で汚くなった手を
これでもかと言うほど洗い、
面をかぶったせいでハネた髪を
必死に櫛で
なでつけている春を見て、
美姫がニヤニヤと話しかけてきた。
「春がそんなコトするなんて!!
あっ!そっか!
彼氏と一緒に帰るンだもんね?」
「ねぇ!あたし防具臭くない!?
髪変じゃない!?」
美姫のからかいも
緊張している春は
耳に入らないようだ。
何しろ、現代で恋人同士になって
総司と一緒に歩くのは
今日が初めてなのだ。
美姫は春の必死の形相を見て
からかう気力を無くす。
「大丈夫。可愛いって…。」
と、答えてやる。
「うぅ~。緊張する。」
(一緒に帰るっていっても
沖田先生って、
家どこらへんなのかな?
家族は?今までどんな風に
平成を生きてきたんだろう?)
春はそんな事も考えて
なんだか落ち着かなかった。
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