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「あ!そうだ!」
ポンと美姫が手を打って
自分の鞄をゴソゴソする。
「春、こっち向いて!」
鏡とにらめっこをしていた春が
「ん??」
と、振り替えると
ベトッと口に何かつけられた。
「何すん…!?」
「グロスだよ♪」
「グロス?」
「ほら、鏡見て。」
美姫に体をクルリと回転させられて
春は鏡に移った自分を見る。
小ぶりでぷっくりとした
春の可愛い唇が、
ほんのり赤めで、
ウルウルになっている。
「ほら可愛い!」
美姫が満足げに頷いた。
「あ、ありがと///」
春が照れながら言うと、
美姫がまたニヤニヤして、
「そのウルウル、チュルンッな口で
初チューされちゃいな☆」
と、答える。
「な!?///」
ボンッと赤くなる春。
昨日、既に軽くキスされているので
それを思い出したのだ。
「んん!?まさかもうしたの!?」
美姫が目を見開く。
春が無言で頷くと、
美姫は脱力した。
「お母さん悲しいわ~。
娘が成長してしまったぁ~」
とか、言っている。
「お母さんって…。」
春がタジタジになって
美姫を見ていると
コンコンと、更衣室がノックされた。
「春、準備出来ました?」
総司の声だ。
「は、はい!今いきます!」
春は美姫に
じゃぁね、とささやいて
慌てて更衣室を出る。
美姫は春が出ていった扉を見て、
「本当に、少しさみしいなぁ」
と、幼馴染みが離れていくことに
しみじみとして苦笑いした。
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