仲間と記憶

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「沖田先生は、 どこに住んでるんですか?」 大学を出て、 最寄り駅に歩く途中 春は総司に聞いた。 「んー。」 総司が形の良い唇を尖らせる。 (家はない、とか 言い出さないよね?) 生まれ変わりという 突拍子もない再会なので 春は、そんな不安も抱えて 総司の返事を待った。 「春…。」 総司が真剣な顔をして 春をひたと見つめる。 (予感的中!?) 春はハラハラして、 総司を見つめ返す。 「名前で呼びなさい。」 総司が口を開く。 「はいぃ??」 「いつまでも“沖田先生”じゃ 他人行儀でしょう? 昔は私が隊長だったので 仕様がないですが、 今は平成ですよ? 恋人同士なんだから “総司”と呼んで下さい。」 春は力が抜ける。 緊張した自分はなんだったのか。 「ほら、早く!」 総司が急かしてくる。 「あたしの質問への返事は…?」 「“総司”って呼んだら 答えてあげます。 てゆーか、早く呼ばないと お仕置きしますよ?」 「お仕置き!?」 春が恐れて、総司から 距離を取ろうとすると 素早く手を握られた。 「私はお仕置きでも 良いんですけどね?」 ニッコリと総司が微笑む。 春は身の危険を感じ、 慌てて答えた。 「言います!呼びます!」
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