仲間と記憶

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「私も、春の話、 沢山聞きたい。」 「!」 「幕末では、 聞いてあげられなかったこと。 どんな家族の中で育ったかとか どんな曲が好きだとか こういう時辛かったとか…」 春は総司の気持ちが嬉しくて 自分もソッと総司の体に手を回した 「これからは ずっと一緒にいるんですから。」 「…。」 春は涙がこぼれそうになり 総司の胸で何度も首を縦に動かす その体温を感じて 本当に総司と巡り会えたのだと 強く強く実感する。 例え、これまで平成で 生きていた総司を知らなくても… 声が、 においが、 息づかいが、 優しさが、 やっぱりまぎれもなく 春の大好きな総司だ。 「一緒にいなかった時間を これからゆっくり 埋めていきましょう??」 総司に頭を優しく撫でられて 2年前、春が過呼吸になった時 “傍にいる”と 髪を撫でてくれた手つきが蘇る。 「うぇっく。うぇぇ~。」 春は声を出して泣いた。 (100年以上過去の人だったのに… 本当にホントに、会えたんだ) 嬉しくて涙が止まらない。 「相変わらず泣き虫サンですね~」 総司が笑いながら 春の顔を両手で優しく挟んで 上を向かせる。
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