仲間と記憶

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そんな春の言葉を聞いて 「大好きですよ。春。 ずーと昔から…。」 と総司が柔らかく微笑んだ。 総司の笑顔は 穏やかな春の日差しのようだ と春は思う。 見ると心が暖かくなる。 遥か昔… でも春にとっては そう遠くない過去。 この笑顔が病魔により 弱々しくなっていく様を 春は見ていない。 ただ、ムービーの あまりにも痩せほそり 儚くなった総司を見ただけだ。 それでも、病気の恐ろしさを 実感するのには十分で…。 その当時 総司を大切に思っていたもの達が どれだけ心を 痛めただろうかと思う。 例えば土方や近藤や…。 しかし今目の前にいる総司は 頬もふっくらとして血色も良い。 そんな総司の傍にいられる幸せ… 「あたしだけが、 こんなに幸せで良いのかなぁ」 春の声が震えた。 「えぇ!? まさかまた泣いてるんですか!?」 総司が急に目を潤ませた春に オロオロしている。 (今の私のセリフで 何故泣くのでしょう??) 「まさか感動で!?」 などと、笑いながら聞くが 春はブンブンと激しく首を横にふる (そこまで否定しなくても…) 総司はガックリと肩を落とし 春の頭を優しく撫でてやった。 「はいはい。泣き虫サン。 優しい総司お兄さんが 聞いてあげますから 何故泣いているのか 吐き出しちゃいなさい。」
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