仲間と記憶

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春はその言葉に後押しされて ポツリポツリと語り始めた。 「総司が、一番辛いときに 傍にいられなかったくせに そんなあたしが今この時代で 幸せを1人占めしてるみたいで… それに、みんなに もう会えないのも悲しくて… あたし、何のお礼も言えてない。 副長にも散々迷惑かけたのに」 これまで2年間 心に溜めていたものも ない交ぜになって 春は涙が止まらなかった。 話終えた、春はスンッと鼻をすする そんな春のおでこを 総司がペシリと優しくたたいた。 「ンな!?」 春が驚いて 顔をあげると 「馬鹿ですねぇ。」 と、総司が 頬をプゥと膨らませていた。 「バ、カって!?」 春が目を見開くと、 「馬鹿ですよ。 何の為に私が生まれ変わったと 思ってるんです? しかもこの時代に…。」 「…。」 「あなたに会う為でしょう?? それなのに、一緒に幸せになってくれないんですか?」 「総司…。」 「幸せにしてくださいよ。 今度こそ、あなたの手で…。」 そう言って笑った総司の瞳が 微かに潤んだ気がした。 (あぁ、本当に、 あたしは大馬鹿モノだった…。) 春は総司の手を強く握った。
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