仲間と記憶

21/21

4574人が本棚に入れています
本棚に追加
/500ページ
総司もその手を握り返す。 「それから…、 さっきのアルバムみたいに 私達はお互いの 平成での記憶をよく知りませんが 幕末で最高の仲間と共に 過ごしていた記憶は 私とあなたしか共有してません。 それを大事にしていきましょうよ 仲間に感謝しながら…。ね?」 総司は春の瞳を強く見つめた。 春は総司の優しさに また熱いものが 込み上げてくるのを感じる。 泣き笑いになりながら 「そうですね。 それにもしかしたら みんなも案外 生まれ変わってるかも 知れないですしね?」 と必死に頷いた。 「そーですよー。 土方さんなんてがめついから 絶対私より先に甦ってますよ。」 と、総司がカラカラ笑う。 「地獄耳だから どこかで聞いてるかも」 春もつられて笑った。 「でも私みたいに、 記憶を持って生まれ変わるのは 稀だと思いますけどね」 総司がフッと息をつく。 「え、なんでですか!?」 春は笑いを引っ込めて驚いた。 「いぇ、推測ですけどね。 私の場合、未来側から引っ張ってくれる人がいましたから。 より確実な形で 生まれ変わったのかなぁ、と」 「あたしが平成にいたから!?」 「そうですねー だとしたら運命ですよね? 逃がしませんよ、春?」 春が総司のいきなりの大胆発言に 口をパクパクさせていると 総司はニコリと少し意地悪気に、 あの頃のままで笑い、 春の耳元でささやいた。 「元より、もう1度会えたら 絶対逃がさないって 決めてたんですけどね。」 春は真っ赤になる。 「今度は急に 消えたりしないで下さいよ?」 そう言って 総司はもう1度軽く春に口付けた
/500ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4574人が本棚に入れています
本棚に追加