言葉はいらない

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「そんなの絶対嫌!!」 美姫は土方の手を強く握った。 この手を離したくなんてない。 なかったことになんかできない。 「当たり前です。 そんなの私も許しませんよ。」 総司の目には決意がこもっていた 「どうするんですか? 解決法なんてあるんですか?」 優が冷静に総司に質問する。 「幕末に行きます。 春の記憶を連れ戻しに。」 冬馬があんぐり口を開けた。 「はぁ? それが出来たら苦労しねーよ。 幕末になんか どうやって行くんだよ。」 「分かりません。 でも、この写真が過去と 繋がってることは確かです。」 総司は写真立ての中から 写真の紙切れを取り出した。 「春に会わせて下さい。 私達の大切な思い出を 変えたりしたくないんです。」 総司は写真に向かって 念じるように話しかける。 もちろん、何も起こらない。 「なんて、通じるわけ…… ないですよね。」 総司は肩を落とした。 それを見ていた皆は 何も言うことができずに 一様に目を伏せる。 「あれ?ちょ、っと待って……。 写真が光ってる!!」 都が写真の端に触れる。 総司達は驚いて顔を上げた。 「ほら!!」 都がしっかり写真を掴むと 写真はぴかりっと白く光った。 都の体からガクッと力が抜ける。 都はゆっくりとその場に倒れた。 「都!!?」 優が都の体を揺すった。 都はまるで眠っているように しっかりと瞼を閉じている。 「何、これ??」 美姫が怯えた声を出した。 「朝倉さんの意識は、 幕末に行ったのかもしれません! 過去と現在が繋がった!」 総司は都の手から写真を抜き取る 写真は一際強い光を放って、 総司も瞳を閉じた。image=371278681.jpg
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