言葉はいらない

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「屯所の庭にあんたらが現れた。 服装にも驚いたが…… 何より倒れている中に 沖田さんがいたからな。 誰かに見つかる前に 納戸の中に押し込めて すぐさま駕籠を呼んだんだよ。」 「斎藤さん……格好良すぎです。 なんて気が利いて 空気が読める人なんだろう。」 総司は頭が上がらない。 「お世辞は良い。 何故か水無月とあんたのことは 放っておけないんだ。 ……なんでだろうな?」 斎藤が優しげに笑う。 物静かで温かみのある物腰。 こんな雰囲気をまとう人を 総司はもう一人知っていた。 (もしかして……。) 総司はじっと斎藤を見る。 (斎藤さんの生まれ変わりって ……春のお父さん??) 断言はできないけれど。 その可能性も あり得るかもしれない。 とにかく、斎藤は 信頼できる人物だ。 総司はひとまず肩の力を抜いた。
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