言葉はいらない

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「あー、沖田先輩 やっと起きた。」 勢いよく襖が開かれて 都と優が部屋に入ってきた。 総司は一瞬誰だか分からずに ぱちぱちと目をしばたく。 「どうしたんですか、 その格好!!?」 優と都は袴に羽織を着て 腰に大小二本を差していた。 すっかり武家の出で立ちだ。 「へへー。似合いますか?」 都がくるりと回って見せた。 「俺が準備した。 あの格好では目立つからな。」 斎藤が説明する。 「あ、あぁ、そうですよね。」 総司は自分の服装を 思い出して納得した。 「あんたのも用意している。 着替えれば、町を歩ける。」 斎藤は窓からチラリと外を見た。 「……はい。」 問題はそこからだ。 一体どうすれば 春とコンタクトが取れる? どうすれば連れ戻せる? 総司は頭を巡らせながら 斎藤がさし出した 和服を受け取った。
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