言葉はいらない

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「もちろんいる。」 斎藤は言葉少なに頷く。 「今のところ沖田先輩は 幕末の頃、生まれ変わった自分に 会った記憶なんて ないんですよね?」 都は総司に確認した。 総司は無言で頷く。 「じゃぁ、顔を合わせない方が 良いのかもしれない。 未来にどんな影響があるか 分かったもんじゃないですから」 優の発言に斎藤は、もっともだ という表情をしている。 俯いて考え込んでいた総司が ふいに顔をあげた。 「春は…………」 総司以外の部屋にいる4人が 一斉に総司を見上げる。 総司は一度、 ごくりと喉を鳴らした。 「もう、人を斬りましたか?」 部屋が静まり返った。 斎藤がゆるゆると首を振る。 「……斬っていない。 水無月が現れてから まだ10日程しか経ってない。 水無月はそのことで 悩んでいるようなフシがある。」
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