言葉はいらない

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「そういうことなら、沖田さんの したいようにすれば良い。 俺はできる限り助力しよう。」 「斎藤さん……。」 総司はハッと我に返った。 「っありがとうございます!」 深々と頭を下げる。 「ほっておけないと 言っただろう? 俺だって水無月が可愛いんだ。」 斎藤の口角が 少しだけ上がった。 「あの……提案なんですけど。」 都がおずおずと手を上げる。 「提案?」 優が不思議そうに都を見た。 「私達3人は、 生まれ変わりと言っても 顔も性格も性別も そのままじゃないですよね? 屯所に紛れ込んで、ひとまず 春の様子を探るっていうのは どうでしょうか?」 「あぁ、なるほどね。」 冬馬が手を打った。 「ふむ……。」 斎藤は思案げに顎を撫でる。 「名案ですよ!!」 総司は表情を明るくした。 「土方さんは、警戒心が強い。 知らぬ顔を見れば 俺の友人だと言っても 素性を探ろうとするだろう。」 斎藤は眉間にシワを寄せた。 「うー。確かに。」 総司は幕末の頃の 鬼の副長を思い出して頭を抱える 「だから…… 行くなら今日だ。」 斎藤が都を見つめた。 「きっ今日!!?」 自分で提案しておきながら、 あまりに突然なことなので 都の声は裏返る。 「土方さんが留守なんですか?」 思い当たる部分があったらしく、 総司は冷静に斎藤に訊いた。 「そうだ。 正確に言えば今日の夕刻まで。 その間に俺が屯所を案内しよう」 トントン拍子に話が決まる。 都と優と冬馬は 緊張した面持ちになってきた。
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