言葉はいらない

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「沖田先輩……。」 顔を上げた都が か細い声で呼び掛けた。 「私、今の春に 少し腹が立ちました。」 ポツリと語る都の言葉に 総司の肩がぴくっと反応する。 「甘えてるっていうか……。 これで沖田先輩のことを 思い出さないままなら 沖田先輩と一緒にいる資格なんて 春には無いと思うんです。」 「みやこっ!」 何を言い出すのかと言うように 優が都の話しを遮る。 都も負けてはいなかった。 「だって優も聞いたでしょう!? 優自身の生まれ変わりでもある 永倉さん達の話!! どんな覚悟で皆生きてたか!」 優はぐっと押し黙った。 「そうだな……。」 冬馬が微かに頷く。 「総司。俺らが屯所に 潜り込んだときな、 ちょうど春と3人組が 話をしてるときだったんだよ。」 「??」 一体どんな話をしていたのか。 予測のつかない総司は首を傾げる 都がすかさず続けた。 「武士の覚悟を春に伝えてた。 みんな儚げに微笑んで お互い様だからって……。」 総司が目を見開いた。 都は胸に手を当てて語る。 「私は藤堂平助の生まれ変わり。 だから……あんな男の子が どんな気持ちで油小路のとき 新撰組と向き合ったのかなぁって 想像しただけで…… 胸が潰れそうになったんです。」
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